河村尚子(ピアノ)  “平和への祈り”~メシアン『世の終わりのための四重奏曲』 ―Hisako KAWAMURA Project Vol.4

終了しました

日時 2015年11月18日(水)  19:00
料金 【全指定席】¥4,500 学生¥2,000
出演者 出演:河村尚子(Pf) ●共演:佐藤俊介(Vn)      セバスチャン・マンツ(Cl)Sebastian Manz      ウルリッヒ・ヴィッテラー(Vc)Ulrich Witteler
プログラム
◆武満 徹:雨の樹素描Ⅱ-オリヴィエ・メシアンの追憶に  -ピアノのための
 Toru Takemitsu  Rain Tree Sketch Ⅱ - In Memoriam Olivier Messiaen
◆武満 徹:11月の霧と菊の彼方から -ヴァイオリンとピアノのための 
 Toru Takemitsu   From Far beyond Chrysanthemums and November Fog
◆武満 徹:カトレーンⅡ                    
Toru Takemitsu Quatrain Ⅱ

◆オリヴィエ・メシアン:世の終わりのための四重奏曲 
  Olivier Messiaen   Quartet for the End of Time
詳細

 

 【次代を担うピアニスト河村尚子をシリーズで聴く、Hisako KAWAMURA Project 最終回。】
ピアニスト河村尚子のさまざまな魅力を古典派の作品から恩師クライネフに捧ぐ近代ロシア作品まで、4年にわたって開催してきた『 Hisako KAWAMURA Project 』。
最終回は欧州の第一線で活躍する彼女の気鋭の仲間とともに、没後20年の武満作品、そしてメシアンの歴史的作品をお贈りします。

ヴァイオリンの佐藤俊介は当ホール初登場、現在コンチェルト・ケルンおよびオランダ・バッハ協会のコンサートマスターとして活躍する期待の奏者。クラリネットのS.マンツは難関ミュンヘンコンクールの40年ぶりの覇者、そしてヴィッテラーはバンベルク響の首席チェロ奏者といった、いずれも欧州の第一線で活躍する実力派ぞろい。
河村さん自身今年デビュー10周年を迎えたことから、これまでの集大成として満を持してお贈りする公演となりましょう。平和への祈りが込められた厳かな響きをじっくりとお聴きください。

 

 

●河村さんからのメッセージをご紹介します!

メシアン・プロジェクトによせて―

ある日ラジオで、どこかで聞き覚えのある音が聴こえてきました。それは旋律というよりは一種の声。なんだろう?と記憶を辿ると、そう!ニュージーランドの小さな孤島で聞いたあの声。テュイという名の鳥の鳴き声で、映画「スターウォーズ」に出てくるロボットのR2-D2の声と似ていたので、記憶に残っていました。ラジオで流れていたのは、”Un oiseau des arbres de vie”(「生命の樹の鳥」)というメシアンの作品で、テュイの鳴き声を描写したもの。メシアンが森林の中で鳥の鳴き声を音にスケッチをしたという話は聞いていましたが、自然の中に存在する鳥の鳴き声を、オーケストラという楽器にここまでも明確に生き生きと「映し換える」ことができるメシアンという作曲家に感嘆したものでした。

この体験は、今回披露する「この世の終わりのための四重奏曲」に取り組んでから1ヶ月ほどが経ったときの事。メシアンという作曲家に対する敬意が益々深まった出来事でした。

 

メシアンという作曲家の名前を見て、このような連想が頭の中でありませんでしたか?「メシアン=現代音楽=分からない=苦手」

実は私も実際に作品と出会うまでは、食わず嫌いのように彼の音楽を避けていました。「現代音楽=理解できない」。これは、誰にだってある固定観念かもしれず、仕方がない事なのかもしれません。しかしある時、私の身体のどこかにある感覚が「挑戦してみよう!」と言ったのです。「新しい事を知ってもし気に入らなければ、その後手を触れなければ良い。でも知らないままでは、何故嫌いなのかも分からない。」と思い、私のメシアンとの旅が始まりました。

 

普段の私の場合、楽譜を読んだり音源を聴く事によって新しく学ぶ曲との距離が狭まるのですが、「世の終わりのための四重奏曲」の場合、先ずは小節にある音符や和音を見て、それらが数学的・リズム的・和声的に後に続く小節でどのような変貌を遂げるのか、又どのようなシステムによって音楽が成っているのか、どのような和声のパターンを使用しているのか、という問いに向き合い、それによって作品の構造がより明確に理解できました。

このような説明書きがあると、とっつきにくくなってしまうかもしれませんが、この曲は現代曲であるにも関わらず、実際聴いていて、そして演奏していて大変色彩豊かな美しい音楽なのです。

「世の終わりのための四重奏曲」は、第2次世界大戦中、メシアンがドイツ軍の捕虜となりゲルリッツにあった収容所に収容されていた1940年に作曲されました。「ヨハネ黙示録」10章に基づくこともあり、大変宗教的な音楽でもあります。

 

8楽章あるこの四重奏曲では、4つの楽器が同時に演奏するカルテットの他に、クラリネット・ソロ、ヴァイオリンとピアノ、チェロとピアノ、そしてヴァイオリン、チェロ、クラリネットの3つの楽器が使われるトリオの楽章があります。その為、曲を通してそれぞれスポットライトのフォーカスが変わり、例えてみればオペラのような感覚で聴く事が出来ます。

鳥の鳴き声を摸写するクラリネットとヴァイオリンをピアノが柔らかいヴェールのような神秘的な和音の連打で包み込んだり、永遠に続くかのような美しいチェロの讃歌に夢見たり、非常に変わったリズムの狂乱の踊りがあったり。。。

メシアンの音楽には数学(リズム、パターン、システム)、宗教、そして自然(鳥)の要素が入っている為、この三つのいずれかの要素に興味があれば、メシアンの音楽を必ず気に入っていただけるはずです。

 

絵画が並べられている美術館を思い浮かべて下さい。そこには昔から現代に渡る宗教画があり、自然の景色を描いた絵画、また数学的・幾何学的なモダンな絵画もあることでしょう。

印象派作曲家のドビュッシーやラヴェルが印象派画家のモネ、ドガやルノワールだとします。メシアンはドビュッシーやラヴェルの音楽を愛し、それらに大変影響を受け、自己の音楽を創り上げました。色彩鮮やかで自然と宗教の要素を用いるシャガール、数学的でモダンな自己流の絵画を創り上げたピカソ、印象派から表現主義へと変貌を遂げたマティスなどの画家が、メシアンという作曲家と比例しているのではないでしょうか?

今回の演奏会にお越し頂くお客様には、とある美術館を訪れた感覚でメシアンの「世の終わりの四重奏曲」を聴いて、多彩なファンタジーを感じ取って頂ければ嬉しい限りです!

 

 

今回共演する仲間達は、それぞれヨーロッパを代表するオーケストラのトッププレーヤー達。ヴァイオリンに、コンチェルト・ケルン、およびオランダ・バッハ協会のコンサートマスターを務める佐藤俊介、チェロに、バンベルグ交響楽団の首席奏者のウルリッヒ・ヴィッテラー、そしてクラリネットに、SWRシュトゥットガルト放送交響楽団の首席奏者のセバスティアン・マンツを迎えます。

彼らはオーケストラ活動のみに留まらず、ソリストや室内楽奏者としても名を馳せていますので私も共演に大きな期待を持っていますし、日本で活躍する音楽家の方々にも是非聴いて頂きたい音楽家です。

★このプログラムがお聴きいただけるのは名古屋だけ。ザ・コンサートホールのオリジナル企画でお贈りするものです。
 
◆Hisako KAWAMURA Project の記録 
Vol.1  古典派の巨匠たち part Ⅰ~ソナタの競演   ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン   2012年11月19日 
Vol.2  古典派の巨匠たちpart Ⅱ~多彩なピアノ曲を集めて   ベートーヴェン、ブラームス、シューベルト  2013年6月11日                      
Vol.3 ロシアンピアニズムの世界~組曲『展覧会の絵』      2014年7月2日
 
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PROFILE

◆河村尚子(ピアノ)

ハノーファー国立音楽芸術大学在学中、ミュンヘン国際コンクール第2位、クララ・ハスキル国際コンクール優勝し一躍世界の注目を浴びる。
2004年小林研一郎指揮/東京フィルハーモニー定期演奏会で日本デビュー。以来、準・メルクル指揮NHK交響楽団を含む日本国内の主要オーケストラと相次いで共演を重ねる一方、フェドセーエフ指揮モスクワ放送響、ルイージ指揮ウィーン響、ヤノフスキ指揮ベルリン放送交響楽団、プレトニョフ指揮ロシアナショナル管弦楽団等の日本ツアーに参加、またNHK交響楽団(ノリントン指揮)やアンサンブル金沢などの定期演奏会へ初登場などが絶賛を博す。最近ではテミルカーノフ/読売日本交響楽団、ラザレフ/日本フィルハーモニー交響楽団、ビエロフラーヴェク/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団、ハーゲン・カルテットの名チェリスト、クレメンス・ハーゲン等と共演し、高い評価を得る。2015年~16年シーズンには、M.ホルヌング(チェロ)とロンドン・ウィグモアホール、R.オルテガ・ケロ(オーボエ)とニューヨーク・カーネギーホールでのデビューを含め、同世代の実力派アーティストたちとも多角的な活動が展開される。
新日鉄音楽賞、出光音楽賞、日本ショパン協会賞、井植文化賞受賞、文化庁芸術選奨文部科学大臣新人賞、ホテル・オークラ音楽賞を受賞。主なCDに「夜想(ノットゥルノ)~ショパンの世界」「ショパン:ピアノ・ソナタ第3番、シューマン:フモレスケ」「ショパン:バラード」「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、チェロ・ソナタ」(RCA Red Seal)。
オフィシャルHP http://www.hisakokawamura.com

 

 

◆佐藤 俊介(ヴァイオリン) Shunske Sato

1984年東京生まれ。モダン、バロック双方の楽器を弾きこなすヴァイオリニストとして活躍中。
バロック・ヴァイオリン奏者としては、『コンチェルト・ケルン』および『オランダ・バッハ協会』のコンサートマスターを務め、モダンの分野においては、日本の主要オーケストラのほか、ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団、バイエルン放送交響楽団等と共演。アメリカでは、10歳でフィラデルフィア管弦楽団にデビューして以来、ボルティモア交響楽団をはじめ名だたるオーケストラと共演している。2010年ライプツィヒの第17回ヨハン・セバスティアン・バッハ国際コンクールで第2位および聴衆賞受賞。出光音楽賞、S&Rワシントン賞など受賞も数多い。
 

録音は、第62回文化庁芸術祭で大賞を受賞した「グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ集」や、最新盤「テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12の幻想曲」、また、「パガニーニ: 24のカプリースop.1」他をリリースしている。


 

 

◆セバスチャン・マンツ(クラリネット)Sebastian Manz (Clarinet)

 2008年 難関ARDミュンヘン国際音楽コンクール・クラリネット部門で40年ぶりに第1位に輝く。同時に聴衆賞、オスナーブリュック音楽賞などの特別賞受賞。当時22歳の若さで歴史にその名前を刻んだ。
1986年ハノーファー生まれ。 7歳よりクラリネットを始め、11歳でジュニア学生としてリューベック音楽大学のザビーネ・マイヤーとライナー・ヴェーレのクラスで学び、17歳からは正規の学生となった。13歳でソリストとしてハノーファー音楽院オーケストラと最初のツァーを経験し、ユンゲ・ドイチェ・フィルハーモニー管弦楽団にも参加。2010年からシュトゥットガルト放送交響楽団 首席奏者を務める傍ら、ソリストや室内楽奏者として活躍。使用楽器はヘルベルト・ヴルリッツァー製クラリネット、リードはアルンドスの「アイーダ」。

 

◆ウルリッヒ・ヴィッテラー(チェロ)Ulrich Witteler(Violoncello)

ミュンヘン室内管弦楽団の新しい首席チェリストに就任する以前、ジェモー弦楽四重奏団のチェリストとして、2008年のARDミュンヘン国際音楽コンクールで第3位および聴衆賞を受賞。 ザルツブルク・モーツァルテウム大学でクレメンス・ハーゲン教授のクラスに学び、芸術の修士号を取得して卒業。その後2011年にはフォルクヴァング大学にて教鞭を執る。
ソリストとして、バーゼル交響楽団、ルツェルン音楽祭弦楽合奏団、ミュンヘン室内管弦楽団他と共演、また室内楽奏者としても活躍しており、これまでイェンス=ペーター・マインツ、クレメンス・ハーゲン、パトリック・ガロワ、セバスティアン・マンツ、カール・ヴォルフ、河村尚子、フレディ・ケンプ、ブルーノ・ジュランナらと共演。 
2013/2014シーズンからは、バンベルク交響楽団の首席チェリストを務める。

 

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電気文化会館(052)204-1133