レイフ・オヴェ・アンスネス ピアノ・リサイタル

終了しました

日時 2016年11月22日(火)  7:00pm (6:30pm開場)
料金 【全指定席】 ¥7,500★  学生¥4,000★
出演者
プログラム
シューベルト:3つのピアノ曲 D946
シベリウス: 即興曲 第5番 ロ短調
       : 3つのソナチネ 第1番 Op. 67 嬰ヘ短調
       : 2つのロンディーノ 第2番 Op. 68
: ロマンス Op.24-9 変ニ長調


ドビュッシー:版画   
  第1曲 塔    
  第2曲 グラナダの夕べ
  第3曲 雨の庭
ショパン:バラード 第2番 ヘ長調 op.38
     :夜想曲 第4番 ヘ長調 op.15, No.1
     :バラード 第4番 ヘ短調 op.52
 
★アンコール
 シベリウス  : 悲しみのワルツ
 ショパン   : 英雄ポロネーズ
詳細

ノルウェー出身、2012年からマーラー・チェンバー・オーケストラと組んで世界50都市を巡る『ベートーヴェンへの旅』シリーズを昨年完結させたばかりのアンスネス。
今回お贈りするのは、シベリウスの小品のほか、シューベルト、ドビュッシー、そしてショパンというプログラムです。

楽譜に忠実に寄り添い、真正面から作品に向かい合う真摯な姿勢が彼の持ち味。

巨匠の風格漂う正統派アンスネスの5年ぶりのリサイタルをぜひお聴きいただきたいと思います。

 

聴きどころ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 3年半に及んだ〈ベートーヴェン・ジャーニー〉プロジェクトでは一人の作曲家の世界に専念したレイフ・オヴェ・アンスネスだが、昨年秋よりふたたびバラエティに富んだレパートリーでのリサイタルを再開している。この夏は母国ノルウェーでローゼンダール室内楽フェスティヴァルという新しい音楽祭を立ち上げ、またオリンピックで話題のリオ・デ・ジャネイロをはじめとする南米でのリサイタル・ツアーも行なうなど、ますます充実した活動ぶりを見せている

 筆者は先日、ロンドンでのリサイタル(9月19日)を拝聴し、それに先だって11月の日本公演のプログラムについてお話をうかがった。

 シューベルトの「3つのピアノ曲D946」は、アンスネスにとって新しいレパートリーだという。この夏のローゼンダール室内楽フェスティヴァルではシューベルトの最後の年〈1828年〉をテーマにしたそうだが、まさにこれも最後の年の作品だ。「後期三大ピアノ・ソナタの影に隠れがちですが、驚くべき名作です。シューベルトのエッセンスが凝縮され、しかも多様な世界が描かれています」と語る。アンスネスはかねてよりバリトン歌手のマティアス・ゲルネとコンビを組んでおり、歌曲を通してもシューベルトの音楽を掘り下げている。

 さて今シーズン、アンスネスが特に力を入れているのはシベリウスのピアノ曲とショパンの4曲のバラードで、どちらも近々レコーディングの予定だという。これまで発表されていなかったが、日本でのリサイタルでも前半のシューベルトのあとに、シベリウスの小品を何曲か取り上げると明かしてくれた。

 「シベリウスのピアノ音楽は祖国フィンランドでさえほんの一握りの作品しか知られていませんが、実はかなりたくさん残しており、そのうち40%ぐらいはすばらしい作品です。彼はピアノ奏者ではなかったので、ピアニスティックでない表現もあるのですが、彼のオーケストラ作品の色彩感を想像しながら演奏すればその魅力を引き出すことができます。シベリウスは、曲の雰囲気をつかむ能力に長け、その音楽にはどこかしみじみとした味わいがあります」

 リサイタル後半は、ドビュッシーの《版画》とショパンの《バラード》第2、4番と《ノクターン》第4番(op.15-1)で構成される。「ドビュッシーやショパンの音楽はきわめてピアニスティックで、鍵盤に手を置くだけでぴったりとはまる感覚です。《版画》はたしか17歳の時に初めて弾いたドビュッシー作品で、久しぶりに弾くのでとても新鮮です」

 この後半の演目はロンドンでのリサイタルで聴いたが、アンスネスのドビュッシーはかなり淡い色彩で描かれ、表現も繊細かつ精緻だ。もっとシャープなタッチでくっきり弾く奏者もいる中で、彼はまるで過去を回想するかのように、しっとりとしたドビュッシーを聴かせた。

 そして締めくくりはショパンの《バラード》第2、4番。今回アンスネスのショパンを聴いて感じたのは、彼がベートーヴェンの側からショパンにアプローチしているということだった。楽譜と真摯に向き合い、けっして勢いでは弾かず、ルバートも控えめなあっさりした味わいの演奏ながら、曲の内的なドラマを鮮やかに浮かび上がらせる。実際、「ショパンの音楽は主観的でありながら古典的な点が特色だと思います」とアンスネスは語る。

 「私にとって4曲のバラードは、指揮者にとってのブラームスの交響曲のような大きな存在です。特にバラードは10代の頃から夢中でした。ショパンを弾くのは久しぶりですが、一つにはモダン・ピアノではショパンの繊細さを出すのが難しいと感じるからです。ショパンの音楽は想像以上に複雑に書かれているため響きのバランスに配慮が必要です」

 このようにどの作曲家とも謙虚に向き合い、その音楽を深く掘り下げていくアンスネス。颯爽とした青年の面影は今もあるが、静かに成熟を重ねている尊敬すべきアーティストである。

 

                                                                                         後藤菜穂子 (音楽ライター/ロンドン在住) 

 

 

profile

1970年ノルウェーのカルメイ生まれ。1987年のデビュー以来、「威厳ある優美さ、力強さ、洞察力を有するピアニスト」(ニューヨーク・タイムズ)として評価され続け、その演奏、音楽に真摯に向き合う姿勢においても、最も魅力あるアーティストのひとりとして確かな地位を築いている。2012年~2016年にかけて取り組んだ壮大なプロジェクト「The Beethoven Journey(=ベートーヴェンへの旅)」で、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全5曲を録音し、全世界55都市150回以上のコンサートを行った。ノルウェー王国聖オラフ勲章コマンダー章受章のほか、ペール・ギュント賞、6回のグラモフォン賞を含む、数多くの国際的な賞を受賞。ノルウェー音楽院教授。

 

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